左右均等にかんではいけません
こちらをご覧になった方は、テレビ番組などで歯科医師が「左右均等にかみましょう。」なんて言っていても、くれぐれも実践しないようにしてください。左右均等にかんで大丈夫の方もいますが、左右均等にかんではいけないタイプの方もいます。
左右均等にかむということは、アゴが左右同じように動かなければできません。
下はある患者さんのレントゲン(アゴをパノラマ展開したもの)ですが、
左右のアゴの関節を比較してみます。
左右のアゴの関節の形が完全に違います。このタイプの方は奥歯はほとんど右しか使いません。右の奥歯が使いやすいようにアゴの関節が変形しています。この方が無理に左右均等に左奥歯でかもうとしますと、体がかめる構造になっていませんので、がんばって、力ずくでかむことになります。力ずくでかみますから、疲れますし、肩も凝ってきます。歯も痛くなってくるかもしれません。顎関節症になるかもしれません。
「訓練したらかめるようになるのではないか。」と思われるかもしれませんが、かむということは体の重心などと密接に関わっていますので、そう単純なことではありません。
左右均等にかむようにしたら体調が良くなる方が稀にいらっしゃいますが、そういう方は本来のかむ側が抜歯してかめなかったなどの理由で、本来のかむ側とは逆でかんでいた方達です。
頭のてっぺんから足のつま先までで一つの体です。全部つながっています。かむところひとつにしても全身からの影響を受けているのです。
「左右均等にかんではいけない。」というのなら、では、いったいどうかんだら良いのかということになりますが、それは、「何も考えないでかむ。」ということです。どこでかんだらよいかなどと一切考えずに、ご飯を美味しくいただくのが一番です。そのとき自然に左右均等にかんでいたらそれはとても結構なことですし、片側でかんでいたら体がそこでかむようにしているということです。