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肩こりと歯痛の関係

 患者さんによく聞かれることの一つに「肩こりから歯の痛みって出ますか?」というのがあります。
 ここでは肩こりと歯痛の関係について当院の考えを紹介します。
 まずは「肩がこるから歯が痛くなるのか?」それとも「歯が痛いから肩がこりだすのか?」という問題ですが、これはどちらも有り得ます。
 ではまず、どうして「肩がこると歯が痛くなるのか?」からご説明しましょう。
 まず、肩こりの原因についてですが、これは実に様々です。中には重篤な病気が原因になっていることがありますので、注意が必要ですが、圧倒的に大多数なのは不良姿勢が原因の肩こりでありましょう。
 ところで皆さん、ヒトの頭ってどのくらいの重さがあるかご存じでしょうか?
 約4キロです。約4キロといいますと、身近に体感できますのは、例えばボウリングの球でいえば9ポンド、あと料理をされる方でしたら、お米が3キロや5キロで市販されています。
 頭の重さが4キロというのは、軽いと思われますか?重いと思われますか?
 その重さのものが首の上に乗っているわけです。
 ちょっと実験をしてみます。


 身近にある適当な重さのものを(ここでは9ポンドのボウリングの球)右図のように持ってみます。
 このとき一番楽に持つことができるのは、前腕が地面と垂直になるときです。(重力の方向です。鉛直といいます。)



 ところが前腕を傾けていきますと筋肉の緊張が増して、持つのがつらくなってきます。



 これは頭と首の関係でも一緒です。
 首が地面と垂直、つまり、体幹(胴体)の軸上に首と頭があると首と頭を支える筋肉は楽です。



 しかし、首が前傾して頭が体幹の軸からはずれると筋肉は緊張を強いられます。もうお分かりと思いますが、この筋肉の緊張が肩こりの元です。
 ですから、体幹の軸より首や頭が前傾してしまうような姿勢、例えばデスクワーク、パソコン、車の運転、あるいは猫背などはすべて肩こりの原因となるのです。



 そして、歯との関係ですが、この首が前傾してしまう姿勢の時、首と下アゴは筋肉でしっかりつながっていますから下アゴは首方向、つまり後方へ引かれます。下アゴはわずかですが、後ろにずれるということです。すると下アゴに載っている下の歯も一緒に後方にずれますので、上の歯とのかみ合わせに変化が出てしまいます。ですから、歯が浮くと感じたり、痛くなったりということが生じてしまいます。


 慢性的に常に肩がこっている方は、それが原因で歯の痛みが出ることはあまりありませんが、あまり肩こりのない方に肩こりが出てしまった時や、肩こり持ちの方でも、いつもより肩こりがひどい時などは歯のトラブルが出やすくなります。
 治療の考え方ですが、下アゴが後方に引かれてしまって、かみ合わせがずれてしまうのが大元の原因ですから、まずはずれてしまった下アゴの位置を元に戻してあげることが治療の第一選択と当院では考えており、実際そのような治療を行っております。
 あともうひとつ、なぜ「歯が痛くなると肩こりが出るか?」というのは、歯が痛くなりますと、痛さのあまり意識してしまうため、かみ合わせやかみ方が変わってしまうのは想像に難くないと思います。アゴ、首そして肩は筋肉でつながっていますので、その辺りのバランスがくずれるとおかしな筋肉の緊張、つまり肩こりとなります。  

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