薬で治す歯周病―歯周内科治療という考え方―
歯周病の治療の基本は何といいましても、歯磨きで歯の周りを清潔に保ち、歯周病菌を減らすことですが、最近では薬の進歩に伴って、歯周病菌に効く抗菌薬(飲み薬)を使って殺菌してしまおうという考え方が出てきました。
この考え方は歯周内科(内科的歯周病治療)と呼ばれています。熊本県の開業医、生田図南先生が考案された方法です。
薬を多用し過ぎることは耐性菌が発現してしまうので避けなければいけません。しかし、薬を効果的に用いることができれば歯周病をこれまでよりも楽にコントロールすることができます。
特にTreponema denticolaという種類の歯周病菌に感染している場合は、菌が免疫応答を抑制する物質を放出するので、歯肉はうまく抵抗できません。薬を用いなければ回復は難しいケースといえましょう。
ちょっと生々しいですが、投薬前後の、口の中の菌の変化をご覧いただきましょう。(位相差顕微鏡で見たものです。生々しいのが苦手な方は再生はしないほうがよいでしょう。)
まず、投薬前です。激しく動いている細長い菌はTreponema denticolaと思われます。この菌は免疫応答を抑制する物質を放出するので、歯肉はうまく抵抗できません。
投薬後です。 Treponema denticolaらしき菌は見あたらなくなりました。この時点で歯肉の炎症は無くなりました。
従来の治療法ではなかなかうまく行かなかった方にはおすすめの治療法です。